目 次
1.労災認定に対する不服とは?
労災給付の請求を行うと、労基署のほうで調査が実施されますが、必ずしも思い通りの労災認定にならない場合があります。例えば、傷病が業務によるものではないとして不支給の判断となる場合、業務に起因する傷病とは認定されたが後遺障害には該当しないと判断される場合、認定された後遺障害が思ったような等級でない場合などが考えられます。
そのような判断に不服があり、改めて審査を行ってほしいと考える場合には、労災保険法に基づく不服申立ての手続を行うことになります。
2.不服申立ての方法は?~審査請求を先に行う必要があります!
「不服申立て」として最もイメージしやすいのは訴訟手続だと思います。
ですが、労災保険法では、即時の訴訟手続は認められておらず、一度は行政機関による不服申立てを経る必要があります。具体的には、労災認定に対して不服がある場合には、3か月以内に、労働者災害補償審査官に対して「審査請求」という不服申立ての手続を行う必要があります。一般には、労働者側から不服の理由を書面で提出し、不服が妥当であるか否かが判断されます。3か月以内の判断が原則となっており、3か月以内に判断がされない場合には次の手続に進むことができます。
3.審査請求でもうまく行かない場合には?
~再審査請求と訴訟の選択になります!
審査請求を行ったものの、労働者側の言い分が認められず、判断が覆られない場合もあります。その場合、労働者側は、改めて行政機関に対する不服申立て(「再審査請求」と言います。)と、裁判所に対して訴訟を提起することを選択することができます。いずれも、審査請求を棄却する決定があった時から6か月以内に手続を行う必要があります。
再審査請求の手続は、労災保険審査会に行うことになります。複数人による合議体による判断となります。この再審査請求の手続でも労働者側の言い分が認められない場合には、裁判所に対して訴訟を提起することになります。訴訟は、管轄の地方裁判所に対して提起することになり、再審査請求を棄却する裁決があってから6か月以内に手続を行う必要があります。
4.どのような不服申立てを選択するか?
審査請求・再審査請求の手続は、比較的早期の判断がなされますが、不服が認められる可能性はそれほど高いとは言えないのが現状です。対して、訴訟の手続は、慎重な審理が実施されますがかなりの時間を要することになります。どの手続を選択するか、事案により異なりますので弁護士とよく相談のうえで判断する必要があります。