労災を会社が認めない場合でも労災保険請求はできる!被災労働者の対応方法を全解説

労働者災害補償保険制度(労災保険制度)は、業務中や通勤中に発生する労働者の負傷、疾病、障害、死亡など対して保険給付をおこなうことで、社会復帰を促進し、被災労働者やその遺族の福祉を増進することを目的にしています。
しかし、会社が労災を認めようとしない場合があります。
こうした場合、被災労働者が適正な補償を受けるためには適切な対応が重要です。
本記事では、会社から認められない場合でも労災保険を請求する方法やその他補償を求めるための対応方法についてくわしく解説します。
- 1. 会社が労災の責任を認めない理由
- 1.1. メリット制の適用事業主は保険料が上がる
- 1.2. 損害賠償請求や刑事責任を回避したい
- 1.3. 労働基準監督署による調査を回避したい
- 1.4. 会社のブランドイメージの低下
- 2. 被災労働者自身で労災申請は可能
- 2.1. 労災保険給付の条件
- 2.1.1. 通勤災害とは
- 2.1.2. 業務災害とは
- 2.2. 労災保険給付の種類
- 3. 被災労働者自身で労災申請をおこなう方法
- 3.1. 会社への報告
- 3.1.1. 労基署に労働者死傷病報告を提出しない場合(労災隠し)
- 3.2. 会社に労災手続き協力の依頼
- 3.2.1. 非協力の場合、労基署・弁護士に相談
- 3.3. 所轄の労基署に申請
- 3.4. 労働基準監督署による調査
- 3.5. 労災保険の支給・不支給決定
- 4. 労災として認められないケース
- 4.1. 業務災害・通勤災害に該当しない
- 4.2. 労働者の故意
- 4.3. 労働者による犯罪行為
- 4.4. 労働者の重大な過失
- 4.5. 正当な理由なく医師の療養の指示に従わない
- 5. 労災申請以外による被害回復の方法
- 5.1. 会社の安全配慮義務違反に対する損害賠償請求
- 6. まとめ
会社が労災の責任を認めない理由
労働災害が発生した際に、労災保険の申請をしたがらないケースがあります。
主な理由は、労災認定による保険料の増加を回避するためや、損害賠償責任や刑事責任から逃れるため、また企業ブランドイメージの低下を防ぐためなどです。
これらの理由の背景を理解することは、被災労働者が自身の権利を守るために取るべき具体的な対応策を検討するうえで重要です。
メリット制の適用事業主は保険料が上がる
職場で発生した労働災害の発生状況に応じて、労災保険料率を増減させる制度「メリット制」があります。
すべての事業に適用されるわけではありませんが、メリット制が適用される事業主の場合、労災申請件数が増加すると保険料が上昇するリスクがあります。
そのため、事業主が支払う保険料と実際の労災発生率が連動しており、高頻度で労災が発生する事業所では、翌年の保険料が増加する可能性があります。
例えば、労災発生件数が多い職場では、毎年の支払い保険料が大きく増えるケースが見受けられます。
このため、全額事業主負担である保険料の増加を懸念する一部の事業主が労災保険の申請をしたがらない傾向があると言えます。
損害賠償請求や刑事責任を回避したい
会社が労災の責任を認めたくない理由の一つとして、損害賠償請求や刑事責任を回避する目的が挙げられます。
労災保険制度においては事業主の責任とは無関係に保険給付がなされます。
基本的に、被災労働者の災害が業務上のものであると認定されれば、労災保険給付がおこなわれます。
労災保険は業務上で発生した被害を補償するためのもので、休業損害の一部や、精神的苦痛に対する慰謝料などは労災保険の補償の対象外です。
後述しますが、この労災保険で補償されないものについては、事業主に対して損害賠償請求をすることができる場合があります。
例えば、労災事故において安全配慮義務の違反が明らかになれば、民事上、事業主の責任が追及されるケースがあります。
また、事業主は、労働災害が発生すると労働安全衛生法違反、業務上過失致死傷罪などの刑事責任が問われる可能性があります。
こうしたリスクを回避するために、会社は労災認定を避けようとする場合があるようです。
労働基準監督署による調査を回避したい
前述のとおり、事業主は民事・刑事以外にも、行政上の責任追及を受けることがあります。
労働基準監督署による是正勧告、作業停止命令、許可取消といった行政処分です。
労基署による調査や処分によって、事業活動の制限や停止といった経済的なリスクに直面することを恐れて、事業主は調査や処分を避けるために労災を認めようとしないことがあるようです。
会社のブランドイメージの低下
法令違反などが指摘されると、企業は是正命令や罰則を受けるだけでなく、社会的信頼を損なう可能性が高まります。
企業イメージの低下による取引先からの信用失墜、社会的な批判、労働者の離職や採用活動への影響が考えられるため、事業主として労災を認めないことがあります。
被災労働者自身で労災申請は可能
会社が労災を認めなくても、被災労働者自身で申請を進めることは可能です。
労災の認定は労働基準監督署がおこなうもので、会社の判断に影響を受けるものではありません。
労災の申請は、被災労働者自身の権利であり、その手続きの進め方を理解することが、適切な補償を受けるための重要な一歩となります。
具体的な手続きの手順や要件については事前に十分な情報収集をおこない、必要であれば専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
労災保険給付の条件
労災保険給付は、通勤災害または業務災害が発生した際におこなわれます。
通勤災害とは
通勤災害とは、勤務先と自宅間の通勤途上で発生する事故や災害によって生じた負傷や病気を指し、労災保険の適用範囲となります。
「通勤」の定義
① 住居と就業の場所との間の往復
② 就業の場所から他の就業の場所への移動 ③ ②の往復に先行し、または後続する住居間の移動
上記の移動が「通勤」として認められるためには、次の要件を満たす必要があります。
「通勤」として認められるための要件
① 就業に関する移動であること
出勤や退勤など、仕事に関連した移動であることが必要です。
就業との関連性のない個人的な行動中の災害は対象外です。
② 合理的な経路及び方法による移動であること
一般的に労働者が用いると認められる経路や方法での移動である必要があります。必ずしも最短距離である必要はありません。
③ 業務の性質を有する移動でないこと
業務としての移動は通勤には含まれません。
通勤災害として認められるためには、これらの要件を満たす必要があります。
これは業務災害と区別されるものであり、労働者が通常の通勤経路及び方法で移動中に被害を受けた場合に対象となります。
要件を満たしていれば、交通手段(徒歩、自転車、自動車、公共交通機関など)に関わらず、通勤災害として労災保険給付の対象となります。
具体的には、労働者が勤務場所へ向かう際や帰宅する途中での電車内での事故や徒歩中の交通事故などが該当します。
通勤中の労災事故について、次の関連記事で詳しく解説しています。
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業務災害とは
業務災害とは、労働者が業務上の理由で負傷、疾病、障害または死亡することを言います。
具体的には、労働者が労働契約に基づいて事業主の支配・管理下にある状態で発生した災害のことを指します。
業務災害と認定されるためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
① 業務遂行性
労働者が労働契約に基づき事業主の支配・管理下にあること。
具体的には以下のような状況が該当します。
・所定労働時間内や残業時間内に事業場内で業務に従事している場合
・出張中や社用での事業場外での業務遂行中
・休憩時間中でも、オフィスや事業場施設内にいる場合
(ただし、私的行為による災害は除く)
② 業務起因性
業務と傷病等の間に一定の因果関係があること。
以下のようなケースが業務災害として認められる可能性が高いです。
・工場内での作業中に機械に巻き込まれて負傷した場合
・社用車での移動中(通勤災害に当たる場合を除く)に交通事故に遭ってケガをした場合
・長時間労働によってうつ病を発症した場合
労災保険給付の種類
労災保険は、被災労働者が直面するさまざまな状況に対応するため、多岐にわたる給付制度が用意されています。
労働事故の状況や疾病は一人一人異なるため、それぞれのケースに合わせて適切な支援が提供されます。
例えば、労働中に負った傷病の治療費に充てられる療養(補償)給付や、療養中の収入減少を補填するための休業(補償)給付、また、業務上の事故による障害が残った場合の障害(補償)給付などがあります。
これらの多様な給付制度を理解することで、被災労働者は自らの状況に最も適した補償を受け取ることが可能です。
したがって、労災保険給付を請求する際には、各給付の具体的な内容と適用条件を把握することが非常に重要です。
労災保険の種類 | 給付内容など |
---|---|
療養(補償)給付 | 怪我や病気に対する給付。 「療養の給付(労災病院または労災保険指定医療機関で治療を受ける場合)」、「療養の費用の支給(労災病院または労災保険指定医療機関以外で治療を受ける場合)」があります。 なお、療養補償給付は業務災害、療養給付は通勤災害に当たる場合の給付です。 |
休業(補償)給付 | 業務災害、通勤災害による怪我や病気で仕事を休む際に受けられる給付です。 労働基準法の平均賃金に相当する額の80%(給付基礎日額の60%に相当する「休業給付」と、給付基礎日額の20%に相当する「休業特別支給金」)の支給が受けられます。 |
障害(補償)給付 | 治療後(症状固定後)に身体に障害が残った場合、その症状において厚生労働省令で定められている1級~14級の障害等級の認定を受けることができれば受給できます。 ◆関連コラム 「労災による後遺障害とは|給付金額・障害認定までの流れ・等級認定を受けるためのポイントを解説」 |
遺族(補償)年金 | 従業員が死亡した場合に遺族が受け取ることができます。 ◆関連コラム 「労災事故の死亡慰謝料の相場はいくら?会社への慰謝料請求・損害賠償請求」 |
葬祭給付(葬祭料) | 従業員死亡時に葬祭をおこなった人に対して支給されます。 |
傷病(補償)年金 | 被災後1年半以上経過しても、怪我・病気が治ゆせず、治療継続の必要性ある時に支給されます。 |
介護(補償)給付 | 障害により傷病(補償)年金または障害(補償)年金を受給しており、今まさに介護を受けている場合に支給されます。 |
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被災労働者自身で労災申請をおこなう方法
会社が労災を認めない場合でも、被災労働者自身が労災保険を申請することは可能です。
具体的な労災申請のプロセスを知って理解することで、会社の協力が得られない場合でも迅速かつ適切な補償を受けることができます。
会社への報告
労災が発生した場合、まずは会社に速やかに報告します。
事業主は労災事故が発生した時には、所轄の労働基準監督署に対して「労働者死傷病報告」を提出しなければなりません。
労基署に労働者死傷病報告を提出しない場合(労災隠し)
労災事故が発生した場合、事業主には労働基準監督署への報告義務があります。
この報告は労働者死傷病報告として提出されるべきものですが、意図的にこれを行わないケースが見られます。
ただ、これは労災隠しに当たり、違法行為です。
法律上の義務である報告をしない、あるいは虚偽(うそ)の報告をおこなうと、罰則の対象となります(労働安全衛生法第120条5項違反、50万円以下の罰則)。
労基署への報告を怠る理由の一つとして、先述の通り、会社が労災の認定による保険料の増加や監督署からの調査を嫌う場合が考えられます。
このような状況で被災した労働者は、自身の権利を守るために速やかに労災申請に向けた対応する必要があります。労災隠しが疑われる場合、労働基準監督署に直接相談することが可能です。
また労災問題を取り扱う弁護士などの専門家に相談し解決策を求めるのも適切な手段です。
会社と労働者との力関係もあり、労災隠しに遭い、被災労働者自身で労災申請をおこなわずにいるとデメリットが生じます。
例えば、療養(補償)給付を受けられないために、自己負担で治療に必要な費用の支払うことになります。
労災による傷病については、健康保険の利用ができないため、治療費全額の負担を求められる場合もあります。
また、怪我のために休業する場合にも休業(補償)給付が受けられず、経済的に不安定になる可能性があります。
労災隠しに遭遇した場合には、証拠となる書類や記録を確保し、労基署や弁護士相談を活用して労災申請をおこない、速やかに状況を是正する行動を取ることが重要です。
会社に労災手続き協力の依頼
労災保険の申請は、原則として労働者本人または遺族がおこないます。
労災災害補償保険法施行規則(以下「規則」とします。)13条1項柱書きでは、「休業補償給付の支給を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した請求書を、所轄労働基準監督署長に提出しなければならない」と定められています。
一方で、事業主には以下の義務が法律で定められています。
①助力義務(規則23条1項)
事故のため自分で労災請求の手続が困難な従業員に対して、事業主はその手続を行うことができるように助力しなければなりません。
②証明義務(規則23条2項)
事業主は、労災保険給付を受けるべき者から保険給付を受けるために必要な証明を求められたときは、速やかに証明をしなければなりません。
基本的に被災労働者自身がおこなうものですが、実際の労災申請手続きでは、会社に法律上の助力義務があるため、会社が窓口となって申請の事務手続をサポートすることが一般的です。
また会社としても申請内容を把握し、必要に応じて労働基準監督署に自社の見解を伝えることができるメリットがあります。
なお、業務上の災害でないなど意見がある場合には、必ずしも事業主証明を行う必要はありません。
この場合、事業主は労働基準監督署長に対してその旨の意見を申し出ることができます。
具体的には、労災申請の事業主証明欄を空欄にした上で、「証明拒否理由書」を添えて労基署へ提出します。
このように、被災労働者自身が労災申請をおこなうことを基本としつつも、実際には事業主には手続きの協力義務があり、実務上は会社がサポートすることが一般的です。
そのため、会社が労災申請に否定的な場合でも、労働者には労災請求の権利があり、会社の許可や承認は必要ありません。
会社の協力が得られない場合でも諦めず、ご自身で労災申請を進めていきましょう。
非協力の場合、労基署・弁護士に相談
会社が労災申請手続きで非協力的な態度を取った場合には、速やかに労働基準監督署や法律の専門家である弁護士への相談を検討してみましょう。
労災手続きは被災した労働者の法的権利として認められておりますが、その過程は専門的な知識や手間が必要となり、個人だけでの対応は難しい場合があります。
例えば、労災申請書類作成が遅々として進まないケースでも、監督署や弁護士からの指導とサポートを受けることで迅速かつ適切な手続きを進めることが期待できます。
所轄の労基署に申請
被災労働者は所轄の労働基準監督署へ直接労災申請を行うことができます。
具体的には、労災保険給付請求書を入手し、必要な書類、例えば傷病診断書や業務との因果関係を示す資料を準備し、所轄の労働基準監督署の窓口へ持参・郵送などの方法により提出します。
その後、監督署が事実調査をおこないます。
労働基準監督署による調査
労働基準監督署は、労災保険給付の要件が満たされているかを確認するために調査を行います。
労災保険給付の請求書を受理したのち、提出された資料をもとに書面審査をおこない、必要に応じて事業主や関係者に追加の資料提出を求めます。
事実認定が難しい場合には、関係者への直接の聞き取り調査、医療機関への照会、事業場への立ち入りといった現場調査がおこなわれます。
労災保険の支給・不支給決定
労基署は、業務災害の場合は、前述した業務遂行性(業務と傷病との因果関係)や業務起因性(業務中の災害か)があるかなどを確認し、支給・不支給の決定をおこないます。
労災として認められないケース
自分の不注意による怪我であっても、一般的に業務遂行性と業務起因性が認められれば労災として認定される可能性がありますが、以下のようなケースでは労災として認められない可能性が高くなります。
この制度の適用外となる可能性があるのは、通勤や業務の遂行と因果関係がないもの、労働者の重大な過失や故意が認められる場合などです。
業務災害・通勤災害に該当しない
労災保険が特定の状況下で働く労働者を保護する目的で設けられた制度であるため、適用範囲が明確に限定されています。
通勤経路をはずれた際の事故や、個人的行為に起因する怪我には、労災保険の適用が除外されることがあります。
それでも、もし労災と認定されないことに異議がある場合、労働者災害補償保険審査官に対する審査請求や、行政訴訟といった手続が必要となります。
労働者の故意
労働者が故意に引き起こした事故や傷害については、労災保険の対象外とされる場合があります(労働者災害補償保険法第12条の2の2第1項)。
例えば、安全装置を意図的に無効化した結果による事故などは故意に引き起こした事故と評価され、労災保険の適用が否定されることも考えられます。
労働者による犯罪行為
労働者が犯罪行為をおこなった場合、その行為に関連してその労働者自身に発生した事故や病気は労災として認められません(労働者災害補償保険法第12条の2の2第2項)。
例えば、工場勤務中に工場設備を破壊しようとして誤って傷害を負った場合、この負傷は労災として認定されず、保険給付を受けることはできません。
労働者の重大な過失
労働者が重大な過失を犯した場合、労災保険の申請が認められないことがあります。
重大な過失とは、簡単に説明すると「少し注意すれば、防ぐことができたのに見過ごした」ような、ほぼ故意に近いような状況を言います。
ただし、重大な過失の認定は、法的な観点に個別、慎重に判断されます。
労働者の過失が重大であると認められても、直ちに保険給付が全額制限されるわけではなく、過失の程度に応じて給付額が減額されることがあります(労働者災害補償保険法第12条の2の2第2項)。
正当な理由なく医師の療養の指示に従わない
労働者が、正当な理由もなく医師の療養に関する指示に従わないことにより、負傷、疾病、障害もしくは死亡またはその直接の原因となった事故を生じさせたときは、保険給付の対象外となります(労働者災害補償保険法第12条の2の2)。
例えば怪我を負った労働者が通院や特定の治療を受けるよう指示を受けているにもかかわらず、自発的に治療を放棄した場合に、労災保険の全部または一部が支給されないことがあります。
労災申請以外による被害回復の方法
労災保険制度で、実際に生じた損害の全てについて補償を受けることはできません。
また、労災保険では、労災事故による精神的な損害に対する慰謝料を保険給付として受給することができません。
損害の補償が不十分である場合には、会社に対して損害賠償請求をおこなうことが考えられます。
具体的には、企業の安全配慮義務違反を理由に損害賠償を請求する方法があります。
会社の安全配慮義務違反に対する損害賠償請求
会社には、労働者の生命、身体、健康守るために必要な配慮をおこなう義務があります。
これを安全配慮義務と言い、事業主の義務として法律で規定されています(労働契約法第5条参照)。
もし、事業主がこの義務を怠り、それが従業員の健康を損なう結果を招いた場合、従業員は損害賠償請求を行うことが可能です。
例えば、整備不良の機器で作業を行わせ、この結果として事故が起こった場合や、過剰な業務負担が原因で従業員の健康が損なわれた場合は、安全配慮義務の不履行とみなされる可能性があります。
その場合、従業員は発生した損害の回復を目的として損害賠償請求を行う権利があります。
しかしこれらを請求するには、被災労働者が事業主の安全配慮義務違反と、損害の発生、違反と損害との間の因果関係を明らかにするなど立証が必要になります。そのため、事実関係の証拠の確保も大切です。
また、専門弁護士のサポートを受けることによって、手続きをスムーズに進めることができるため、適切な対応を進めるためには早めの問い合わせ、法律相談の中で具体的なアドバイスを受けておくと良いでしょう。
まとめ
本記事では、会社が労災を認めない場合の理由や、被災労働者が自ら労災申請を行う方法、また労災として認められない場合の対応策やそれ以外の被害回復の方法について詳述しました。
もし自身が労災の対象となる状況にあるのに申請の難航に直面している場合、早期に労基署や労災にくわしい弁護士に相談し、適切なサポートを受けましょう。
弁護士法人一新総合法律事務所では、労災事故にあった従業員の方のために、会社との交渉や慰謝料請求、後遺症が残った場合の労働基準監督署への後遺障害申請など各種サポートをおこなっています。
ご依頼いただくことで弁護士が窓口対応をおこなうため、安心して治療に専念し社会復帰を目指すことが可能です。
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